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9月10日に第33回信州排泄ケア研究会が松本市で開催されました。当院から参加したスタッフからの報告書です。
講演1 講師:信州大学医学部付属病院泌尿器科 市野みどり先生
演題:排尿管理の基礎知識
講演2 講師:信州大学 皮膚排泄ケア認定看護師 Mさん、Hさん
演題:すぐに使える排尿ケア
下部尿路機能(膀胱、尿道)は、
蓄尿と排尿という二つの相反する機能により成り立っています。下部尿路は神経(末梢神経、脊髄)を介して脳とつながっていて、蓄尿期は膀胱を緩め尿道を締めます。排尿期では膀胱を収縮させ尿道を広げます。
この機能にトラブルが生じると腹圧性尿失禁や過活動膀胱などの蓄尿障害や、排尿障害の症状が出てきます。
蓄尿障害腹圧性尿失禁は、お腹に強い圧力がかかったとき(咳、くしゃみなど)に尿漏れします。主に女性に多く、骨盤底筋が弱くなり尿道をうまく締め上げられたくなり尿が漏れます。原因としては、出産、加齢、女性ホルモンの低下、肥満などがあげられ、治療は、骨盤底筋体操、尿道を締める作用がある薬、手術があります。
過活動膀胱では、自分の意に反して急に強い尿意をもよおし、我慢できずに漏れてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。この症状は、水に触っているときやトイレを見たときに多くみられます。過活動膀胱は40歳以上の男女の12.4%にみられ、このうち半数は失禁も伴います。原因としては、神経のトラブル、骨盤底筋のトラブル(女性)、前立腺肥大症(男性)、加齢によるものもありますが、原因がはっきりとわからないものもあります。治療は、膀胱の異常な収縮を抑える薬、前立腺肥大症がある場合には前立腺肥大症の治療、骨盤底筋体操、行動療法(尿意があってもすぐにトイレには行かず少し我慢してみる)、電気刺激などがあります。
他の尿のトラブルでは、
夜間頻尿が多いようです。夜間頻尿では、眠れないからトイレに行く、トイレに行きたくなって目が覚める、目が覚めたからトイレに行く、夜間の尿量が多い、などの種類があります。どの種類なのかは、排尿日誌をつけてもらうことで把握することができるので、その結果で治療の方法を決めていきます。
排尿障害自分でうまく排尿ができずカテーテル留置が必要な方もいます。しかし、カテーテルを留置する理由がなくなった時点で速やかに抜去し、患者様の状況により適切な方法(自己導尿など)を選択していく必要があります。
現場でできる看護師のかかわりとして、安易におむつを使用せずに患者様の話をよく聞き、ニーズを知って自立への手助けをすること。患者様の機能を損なわないように環境の整備や工夫をすること。認知症の方などでは、尿意の訴えを見逃さずにトイレへ誘導し、成功したときの喜びを与え共感することも大事だと思います。尿に対する悩みは人には相談しにくいと思いますが、その悩みを私たちは患者様の身になってケアしていきたいと思っています。
昨年の研究会の報告書も併せてお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/161752703.html
posted by クランベリー at 14:50|
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スタッフから
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