2012年03月14日

院長より 水をたくさん飲んでも血液はサラサラになりません

gremz


「おしっこがちかい」と頻尿を主訴にクリニックを受診される方はたくさんいらっしゃいます。前立腺肥大や脳梗塞による過活動膀胱、女性では冷えのために頻尿になることがよくあります。病気による頻尿は多くの場合薬による治療で改善します。一方、単なる水分の摂りすぎで頻尿になっている方も多くいらっしゃいます。要するに、膀胱はたくさんのおしっこを貯められるだけの能力があるのに、一般の人より倍量の水分を摂るためおしっこの量も倍になり、結果としておしっこの回数も倍になっている・・ そんな患者さんを多く目にします。「どうしてそんなに水を飲むのですか?」と聞くと、皆さん「血液をサラサラにしたいから」とお答えになります。edy053.gif

水をたくさん飲んでも血液はサラサラになりません。

たしかに、テレビを見ると「1日2リットルの水を飲んで血液サラサラ」とかやってますね。医学的根拠はあるのでしょうか? 実はありません。
数年前、水を大量に飲んだ後で血液の粘調度(サラサラの度合)が変化するかを調べた論文が発表されました。実験では、5分間に1リットルの水を飲んで1時間後、2時間後に血液の粘稠度を調べています。水分を過剰に摂取しても粘稠度は変化しませんでした。水をたくさん飲んでも血液はさらさらにならないことは、医学的に証明されています。

水分を取ると、ほんの一時的に血管内の水分は増えるかもしれません。では、血管内の水分量が多いのは良いことでしょうか? 考えてみてください。心臓は血液を循環させるためのポンプです。血管内の水分が増えるとポンプに負担がかかりますね。心臓は余分な水分を邪魔だと判断します。すると、心臓は腎臓(おしっこを作る臓器)に対して「このじゃまな水をさっさとおしっこにして捨ててくれ! さもないと疲れて働けなくなる!!」と命令するホルモンを出します。こうして血管内の余分な水分は、即おしっことなります
「夜トイレに起きるたびに出した分だけ水分を摂るようにしている」なんておっしゃる患者さんがよくいらっしゃいます。余計なお世話だと心臓は迷惑がっていることでしょう。知り合いの循環器内科専門の医師に「先生も水をたくさん飲みましょう なんて指導するの?」と聞いたところ「心臓専門の医者はそんな指導しません!」とおっしゃっていました。

頻尿で悩んでいる方は、1日24時間に出るおしっこの量を測ってみましょう。1日の尿量が2リットル以上なら、水分の摂りすぎである可能性が高いです。水分摂取を減らす工夫をしましょう。
お茶やコーヒーが好きなら、それを止めるつもりはありません。おしっこの回数は増えるでしょうが・・しかし、血液をサラサラにしようと水をたくさん飲み、おしっこの量が増えて夜何度もトイレに起きて健康を害する というのはあまりに本末転倒です。

ただし、脱水はよくありません。炎天下で汗をかく作業をするときは、たくさんの水分をとりましょう。水をたくさん飲んでも血液はサラサラになりませんが、脱水になると血液はドロドロになります。

「水分をたくさん摂ればデトックス(解毒)になるんじゃないの??」と家内に聞かれますが、そのへんは医学的な話ではないのでコメントは差し控えます。


posted by クランベリー at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | Dr.さとうから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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