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クリニックからほど近い場所で桃を栽培しているAさんから、お裾分け頂いた大きな果実。
CDが小さく見えるほど立派な桃は、重さ約480グラム。収穫してから1週間経っても柔らかくはならず固いままの品種です。
Aさんはこの桃をおどろきと名付け、大切に育成してこられました。Aさんの手記から一部抜粋させて頂きました。
桃栽培者にとって桃の収穫期ほど気を遣うときは無い。沢山の果実を全て的期に収穫し終える大事な決断の時である。収穫を遅れると過熟といわれる状態になり商品にならない。もし、桃に過熟という現象の起きない品種ができたら・・、栽培者誰もが一度は思う夢であろう。
昭和50年代の秋、Aさんの叔父であるBさんが偶然桃の新品種を発見しました。Bさん所有の桃の木で他とは違う色の葉っぱがついている枝だあったそうです。お二人が育成した結果、とても大きく、且つ素晴らしく日持ちの良い桃が誕生しました。
地球温暖化が今ほど進んでいなかった当時は8月のお盆には桃の引き合いが強いのに色付いた桃が無く、盆があけて市場価格が暴落すると一気に「大久保」や「山根」という人気品種が収穫期を迎えるというパターンの時代だった。盆に真っ赤に色付いた桃は正に羽が付いて舞う時代だった。桃としてのあの柔らかさや食べる時のジューシーさは無くとも、仏壇を賑々しく飾ってくれるおどろきの桃は憧れの的だった。抜群の日持ちの良さは盆の4日間を過ぎても腐ったり熟れ過ぎて食べられないということはなかった。
しかし多くの人は桃とは水蜜桃と理解しているので、東京の市場では全く受け入れられず、大阪の市場で僅かに取引されているそうです。市場の評価が上がらないために他の品種に切り替えるように指導を受けたこともあるそうです。おどろきの桃の根強いファンは地元の桃愛好家だそうです。クチコミで美味しさが広がり「固い桃でなければ!」というお客さんが沢山いるそうです。
私もAさんの逸話を伺う前に、何度か地元の直売所で柔らかくならない桃を買っています。リンゴのようなシャキシャキした固さではなく、とても引き締まった食感の不思議な美味しさのある桃は、全国的に知名度がある品種なのだろうと思っていました。
ところが、インターネットで「おどろき 桃」で検索をするとAさん以外にも各地で栽培・販売されていることがわかります。スーパー等で見かけることは先ず無いでしょうが、佐久市に、常識を越えてゆける可能性を秘めた桃があることをお伝えしたいと思いました。
ラベル:佐久市