2011年03月21日

スッタフから〜尿失禁・骨盤臓器脱手術の魅力と落とし穴

gremz リサイクル


平成23年3月5日(土)第15回信州排尿障害研究会が長野市で開催され、クリニックからは院長と看護師3名が出席しました。特別講演は3題ありましたが、今回は名古屋第一赤十字病院、女性泌尿器科部長加藤久美子先生の「尿失禁・骨盤臓器脱メッシュ手術の魅力と落とし穴」の講演内容についてご報告致します。

腹圧性尿失禁で広く行われている手術の主流は、以前は針式挙上術(スティミー法)でしたが、現在はスリング手術のTVT法とTOT法です。最近はTVT法が53%、TOT法が15%で、それらの85%が婦人科ではなく泌尿器科主体(85%)で行われています。
以前主流であったスティミー手術は、膀胱頸部の過挙上にて排尿困難をおこしたり、一旦挙上した膀胱頸部が除々に再下垂したり(チーズワイヤー現象)することがあります。TVT法は、恥骨上よりポリプロピレンメッシュを通し固定しますが、膀胱誤穿刺がないか膀胱鏡での再確認は必須となっています。TOT法は、TVT法に比べ腸管損傷のリスクはありませんが、尿道誤穿刺がないように注意が必要です。

骨盤臓器脱(POP:Pelvic Organ Prolapse)には膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤、膣断端脱があります。POPの治療は、保存療法、骨盤底筋体操、減量、便秘や重量物を避ける、リングペッサリー留置と骨盤臓器脱メッシュ手術のTVM法があります。リングペッサリー留置にてリングが膣壁に陥入する事がある為、看護師の指導にて自己着脱ができれば良いのでは?とのご要望がありました。
POPの手術は、頻尿、尿意切迫感は良くなりますが、腹圧性尿失禁を改善するのもではありません。失禁が続く場合は時期をずらしてTOTを行っているそうです。性器脱が軽度の場合は、ボディースーツ、ナプキンを折って圧迫、治療用具等で補う事ができるそうです。

加藤先生の講演は、真面目な中に実体験や患者様の生の声、先生の豊満な胸の映像など、とてもユニークで楽しい講演でした。そんな講演を聞いて、先生の明るい性格や抱擁力は疾患だけではなく患者様の心のケアもされているのではないかと思いました。

私たち看護師として求められるのは、手術に伴うメッリト、デメリットを理解し、医師には言えない不安を聞き取ることなのかもしれません。そして、医師と患者様の間の潤滑油のような存在でありたいと思います。
当クリニックも、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱で受診される方が増えています。腹圧性尿失禁に対しては主に内服、骨盤底筋体操の指導、低周波治療を行っています。骨盤臓器脱に対してはリングペッサリーを挿入しています。入院設備がないので手術は行っていませんが、手術をすると症状が改善するか否かの大事な検査(膀胱内圧検査)は他施設からの依頼もあり、積極的に行っています。検査で手術をすれば日常生活が楽になると判断された方には、総合病院での手術をおすすめしています。

       
お悩みの方がおりましたら、ご相談下さい。
ラベル:尿失禁 
posted by クランベリー at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | スタッフから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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