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事例報告1はコチラの記事でどうぞ。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/246927431.html
患者様の治療過程において看護師がどのように関わっていくかを考えることは、とても重要です。患者様のの精神的不安を軽減しながら症状の改善に繋がった症例をご紹介致します。

〜強い出血を伴う膀胱上皮内癌に対しBCG治療を外来で行った事例〜
事例紹介:77歳、男性
既往歴: 高血圧、不整脈
内服薬:ブロプレス、フルイトラン、バイアスピリン
主訴:肉眼的血尿、排尿困難、尿閉
現病歴:
H12年、前立腺癌と診断をうけ他院にて前立腺全摘出術施行、PSA値の上昇あった為放射線照射60Gも施行、翌年除睾術施行されH22年より当院通院治療中です。H23年1月には、膀胱出血、尿閉にて他院救急搬送され膀胱洗浄、持続潅流にて止血、Hb3.7g/dlまで低下したため、濃厚赤血球6単位の輸血治療をされました。また、当院にて肉眼的血尿、尿閉に対して尿道カテーテル留置、抜去を繰り返していました。
治療の経過:
前立腺癌に対しては、ホルモン抵抗性前立腺癌として紹介されたため、初回はユーエフティE配合顆粒を処方されていましたが、PSAの上昇ありカソデックスに変更、ゾラデックスLA10.8mg注射も併用し治療されています。PSA値は初診時15.4ng/mlでしたが0.008ng/ml未満まで低下しました。 尿中細胞診では、ClassWが持続し、膀胱内視鏡検査で膀胱粘膜は広範囲にわたって発赤が強く、浮腫状で、膀胱上皮内癌が強く疑われました。本来、膀胱生検を行ってから治療を行うところですが、患者さんの血尿に対する不安が強いことから、生検は行わずに、同年7月よりBCG膀胱注入療法を開始しました。
治療開始後も、抗凝固剤を内服しており休薬が困難であることもあり、血尿による尿閉を繰り返しました。尿道カテーテルの留置を勧めましたが、患者さんがカテーテル留置を嫌がったため当初は留置しませんでした。時間外に来院されることも頻回で、その都度膀胱洗浄を行いました。治療途中からは、BCG膀胱内注入後の短期間のみ、尿道カテーテル留置に同意していただけました。イノブラダー膀注用80mgを外来通院にて週1回のペースで計8回行いました。
その後の経過:
PSAは現在0.008ng/mlniと安定しています。肉眼的血尿はBCG治療後より劇的に改善し消失しています。尿中細胞診はclassUで安定しています。頻尿傾向はありますが内服の希望が無いため経過観察中です。
看護の実際
BCG注入後「おしっこの出が悪くなりますから管を入れておきますか?」と医師に促されましたが、カテーテルを入れる事はできるだけ避けたいという思いが強くあり注入後は帰宅されていました。けれども時間が経つにつれ違和感、血尿が強くなり再受診し「先生の言う通り管入れときゃ良かったぁ〜」とおっしゃる事がたびたびありました。その為BCG注入後半は、カテーテルを留置し翌日自分で抜去するように説明し理解を得て治療にあたりました。
その後は、患者様自身レッグパックとカテータープラグを自ら持参してくれカテーテルを留置して帰宅するようになり症状を緩和できました。また「回数を重ねるたび症状が重くなる」と訴えが聞かれましたが、BCGは治療効果にすぐれているという事、副作用がある事を治療のたび医師及び看護師よりお話し声かけをしました。
評価:
BCG膀胱内注入療法は副作用の出現頻度が高く、重篤化する場合は入院治療で状態観察をする必要も生じます。当クリニックでは、クリニックに医師が常駐している事(医院併用住宅)から副作用に対する対応が迅速に行えます。今回患者様より血尿、膀胱注入による排尿時の違和感や血尿に対する不安の訴えが強く、また患者様自身、時間帯に関係なくカテーテル留置、抜去の希望も強かった為、患者様の希望する時間帯にカテーテルの留置、抜去を繰り返し行いニーズに応える事ができました。また、注入後半はカテーテルを留置し翌日抜去する事で症状も緩和し患者様の負担や心配を軽減できました。BCG注入後は、全身性BCG感染を疑う発熱もなく状態は安定しており、予定の8回の注入療法を継続して行うことができました。血尿の増悪はありましたが、膀胱洗浄やカテーテル留置にて軽減する事ができ治療後の症状は劇的に改善する事が出来ました。