gremz
9月6日(土)第36回信州排泄ケア研究会に参加させていただきました。今回は信州大学医学部付属病院にて開催されました。今までは医療従事者のみでしたが、今回は市民公開講座ということで一般の方も参加されていました。 今回の特別講演は『女性の尿失禁〜骨盤底疾患とその治療』講師は安曇総合病院総括院長 西澤理先生でした。講演を視聴して女性の尿失禁はあきらめずに治療すれば治ることを改めて学びましたので報告します。
尿失禁とは尿が不随意に漏れるという愁訴です。主に立ち上がるときや重いものを持った時、咳やくしゃみで漏れてしまう腹圧性尿失禁と急に尿意を感じて(尿意切迫感があり)我慢できずに漏れてしまう切迫性尿失禁があります。女性の場合は加齢や出産が原因で発症することが多いです。しかし、年だから・・・、少しだから・・・と病院には行かずに我慢している方が多いのも現状です。「ただ、薬を飲むことで治る方も多いですし、80歳代の方でも手術をして治る方もいます!なので、尿失禁で悩んでいる方は一度病院に受診してみてください!」と西澤先生はお話して下さいました。
切迫性尿失禁(過活動膀胱)の治療には薬物療法が有効です。日本では2006年から過活動膀胱に有効な抗コリン薬が発売され、年々進化しています。抗コリン薬の副作用として口渇が問題となっていましたが、今では副作用の少ない貼付薬(湿布のような貼り薬)まで出てきています。また、内服薬でも口渇の副作用が少ない新しい薬(β3刺激薬)も開発されています。
腹圧性尿失禁の治療は骨盤底筋体操です。(下記参照)しかし、骨盤底筋体操でよくならなかった場合や尿失禁でパッドを何枚も使用し、生活に支障がある場合は手術で治ります。腰椎麻酔で30分程の手術で安曇総合病院にて西澤先生が執刀してくださいます。尿道の裏側をテープで補強することにより、腹圧性尿失禁を防ぐことができます。また、骨盤臓器脱(膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱、膣断端脱)についてはペッサリー(リング)を入れて対応している人も多いですが、おりものが気になる場合や違和感が強い場合にはメッシュを使用した手術によって膀胱・膣・直腸を固定することが可能です。30〜40代の方でも手術可能だそうです。
特別講演後のミニレクチャーの講師は信州大学医学部付属病院 泌尿器科病棟看護師 師長 松本さんでした。テーマは『尿失禁の予防体操(骨盤底筋体操)とケア』で主に骨盤底筋体操を来場者参加型で教えていただきました。
<骨盤底筋体操の方法(座位)>
@床につけた足を肩幅に開き、背中をまっすぐに伸ばし、頭を上げて前を見ます。
A肩の力を抜き、お腹を動かないように、またお腹に力を入れないように気をつけながら、ゆっくり肛門と膣を締めます。(おならを我慢するような感じ)
Bその状態を5秒間キープして緩めて5秒間キープする。これを10回ずつ繰り返す。
CBが慣れてきたら、2秒ずつ収縮する方法も追加するとより効果的
骨盤底筋体操は1日あたり50回程度が目安です。効果を実感するのに半年〜1年程かかりますので根気よく続けることが大切です。当院では習慣化するために排尿後に体操を取り入れていただくことをおすすめしています。
感想
今回、女性の尿失禁について学びを深めることができました。現在の手術の方法や普段は見ることのできない具体的な手術の写真を見ることで想像しやすく、大変参考になりました。また、骨盤底筋体操の説明や指導についても患者さんへの説明の際に参考にしたいと思います。今回の講義は所々に某アニメ−ションのエンディングや某NHK番組の動画が入っており、時々笑いもある素敵な講演でした。