2012年10月17日

スタッフから 第34回信州排泄ケア研究会

gremz


第34回信州排泄ケア研究会の講演を聞いて
H24年9月15日信州大学で行われた第34回信州排泄ケア研究会に出席しましたのでご報告させていただきます。今回はNPO法人 日本コンチネンス協会の牧野 美奈子さんの講演でテーマは「高齢者・認知症の排泄ケアの技とコツ」です。

認知症とは・・・
脳の神経細胞(組織)の障害によって成人以降に発症する疾患の総称です。主な症状は記憶障害(脳の神経細胞の障害で起こる知的な働きの障害)で、その後に様々な知的能力の低下(見当識障害・行為障害・認知低下・判断力低下・健忘失語・失算・失書)などが起こると言われています。進行に伴い様々な不都合(生活の支障)がおこると周辺症状(BPSD=行動・心理症状)が見られることもあるそうです。

認知症高齢者の排泄障害の特徴は・・・
記憶障害、見当識障害、判断力低下などの認知症状と加齢に伴う排泄障害(前立腺肥大・腹圧性尿失禁・頻尿・夜間頻尿)が重なっているため、実態が把握することが難しいそうです。また、認知症の排泄ケアについて明確な根拠のある手法が確立されていないことから介助する人によってケアに差が出てしまうのが現状です。

認知症高齢者の排泄ケアのコツは・・・
その方の「情報収集」をして「分析」をしてから「ケア計画」をすることです。
排尿記録や排便記録を利用してその方の現状や生活レベルを把握することで適切な介助につなげることができます。ケア計画までの考え方の例をまとめてみました。

尿回数が多く、尿漏れも多い → トイレに行く時間が一定 → 行動療法

                → 尿量も多い → 水分摂取量が多い → 水分制限

                → 尿量は少ない 右斜め下
              膀胱炎や高齢者排泄障害の可能性を考え医師に相談する
尿回数が多いが尿漏れは少ない 右斜め上


* 行動療法には@一定の時間で誘導する方法(定時排尿誘導)、A毎食後・おやつ後など生活習慣のパターンで誘導する方法(習慣化排尿誘導)、B尿意の確認やトイレ誘導を行い、成功した場合は賞賛(強化)をする方法(排尿自覚刺激行動療法)がある。
[例] 尿回数・尿漏れが多い施設利用者。膀胱炎症状(排尿時痛・残尿感など)はなく、水分摂取量も多くないので排尿記録を確認した際、毎日6時―10時―12時―14時―18時―22時の時間帯に尿漏れしていた。→利用者の排尿時間に合わせてトイレ誘導する(定時排尿誘導)

上記は一部の例ですが、排尿記録や行動記録をしっかり取ることで認知症の方の排泄障害は改善できる可能性があるそうです。ただ、記録は1人ではできないので、チームに協力を求めてチャートしてもらうことが大切です。そのためには、チーム全体が目的意識を持つことが重要だと感じました。日々の看護記録や介護記録では評価できにくいので、各施設や病院で排尿記録や排便記録の表を作成して記録することをお勧めしていました。

今回の講習を受けて私自身が感じたことは、記録の大切さです。何に重点を置いているのか、観察項目を統一しているのか、チーム全体で確認してケアしていくことでより個別性のあるケアにつながっていくと感じました。牧野さんのようにプロ意識を高く持って仕事することは素晴らしいと思います。また、機会がありましたら参加したいです。ありがとうございました。

以前の研究会の報告書も併せてどうぞお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/57717354.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/106734996.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/161752703.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/225890113.html
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2012年08月24日

スタッフから〜保険の資格に変更があったとき

gremz


保険の資格に変更があったときには、変更のあった日から14日以内に届出しなければなりません。変更があったにも関わらず届出をしないで、以前の保険証を使用することはできません。佐久市の国民健康保険を例に挙げてみます。

【届出が必要な異動】

国保に加入するとき
◎ 退職などで職場の健康保険をやめた 
◎ 社会保険の扶養家族 をはずれた  
◎ 他の市区町村から転入した


国保を外れるとき
◎ 職場の健康保険 に加入した
◎ 他の市区町村に転出する

その他
◎ 保険証を紛失して再発行してほしい
◎ 住所や世帯主の名前が変わった
◎ 就学のため、別に住所を定める

加入・喪失をされた人はかかりつけの医療機関へも手続きが必要となります。

国保の加入日以降に医療機関で診察を受ける場合には、新しい国保の保険証を窓口に提示し確認を受けてください。窓口での手続きを怠った場合、以前の健康保険を使ったことになり、保険者が負担した医療費が後日請求されますのでお支払い下さい。

国保喪失日以降に医療機関で診療を受ける場合にも、新しい保険証を提示し確認を受けてください。
転出される人は、届け出た転出予定の翌日で佐久市の国保の資格も喪失します。喪失日以降に使用した場合は、佐久市が医療機関に支払った7割、義務教育就学前の子は8割、高齢受給者は7割又は9割の医療費を負担していただくことになります。納付書が送付された場合はお支払いください。

以上のように、届出が遅れると、さかのぼって課税されたり、医療費を返していただくことがありますのでご注意下さい。
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2012年08月23日

スタッフから〜被保険者証のこと

医療機関を受診する際必ず持参するのが被保険者証です。普段皆様が保険証と呼んでいるものがそれです。当たり前のように所持している保険証の話をしたいと思います。

【保険とは?】

将来起こりうるかもしれない危険に対し、予め多くの人に掛金(保険料)を納めてもらい、事故や災害、疾病が生じた場合にその保険料を納めた人の、生命や財産を守るための相互扶助の制度です。生命保険や火災保険は保険会社が一定の利益を上げる目的で運営されています。加入は個人の自由意志による任意加入ですから保険料の多い少ないにより給付される金額に差があります。

任意加入の保険に対し、日本国民はいずれかの医療保険に加入しなければならない公的強制加入の医療保険があります。一つは社会保険(以下、社保とする)、もう一つは国民健康保険(以下、国保とする)です。社保は会社、官庁、学校などで働く人々、いわゆるサラリーマンが加入します。国保は農業や自営業、自由業など一般地域住民が加入する保険です。社保も国保も納める保険料の多い少ないに関係なく同じ給付を受けられます。財源は個人が納める保険料の他に、事業主や国、市町村などが負担してくれます。限られた財源を医療に十分に役立てるために、保険による診療の範囲や基準などは細かく定められています。


【保険者とは?】
健康保険事業の運営主体のことを『保険者』といいます。健康保険の保険者には、幾つかあります。
中小企業等で働く従業員やその家族のが加入している健康保険(政府管掌健康保険)が全国健康保険協会で協会けんぽと言います。
一定規模以上の社員がいる企業が設立した健康保険組合が健康保険連合会で、けんぽれん と言います。
公務員が加入するのは共済組合です。
国保の保険者は市町村です。

【被保険者とは?】
健康保険に加入し、病気やけがなどをしたときなどに必要な給付を受けることができる人のことを被保険者といいます。

【70歳以上の方の健康保険】

70歳以上75歳未満の方は前期高齢者医療制度が適応されます。保険者より一部負担金の割合が示されている高齢受給者証が交付されます。診療を受け際はこの「高齢受給者証」と(社保または国保)の被保険者証の両方を窓口で提示します。75歳以上の方は後期高齢者医療制度が適応されます。こちらの保険者は都道府県の区域ごとに全市町村が加入した広域連合になります。75歳になると(65歳以上で一定の障害がある認定者も含む、生活保護受給者は除く)それまで加入していた国保や社保を脱退し新たに後期高齢者医療制度に移行することになります。年齢により一人ひとりが加入しますから、被扶養者(家族)とする扱いはありません。
ちなみに、社保の場合の被保険者は本人のみで、家族は被保険者に扶養されている者、つまり被扶養者(家族)ということになり、保険料は納めません。

医療機関を受診する際には毎月被保険者証の提出をお願いしています。窓口では、保険者番号、記号番号、有効期限だけでなく、患者様がの負担割合は?被保険者か?被扶養者か?といった確認もしております。雇用形態が変わった場合、保険証が変わった場合は窓口にお申し出下さいますようお願い致します。

参考例 後期高齢者医療制度の被保険者証です
 
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2012年06月08日

スタッフから〜薬の有効性を考える

gremz


ジェネリック医薬品関連の記事と併せてお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/273946858.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/274216164.html

illust1318_thumb.gif厚労省が医療費を抑制するために利用を促進しているジェネリック医薬品。「特許が切れた薬」「先発医薬品と同じ効果が得られる」と報道されていますが、決して利点だけでは無いことを医師達は知っています。

ジェネリックは完全に特許が切れた医薬品ではありません。

錠剤を例にしてみます。薬の成分そのものを物質本体と呼びます。その成分に添加物を加え、物質本体を安定させ胃や腸で溶けやすくします。錠剤の表面をコーティングするための剤形もあります。
物質本体には物質特許。添加物には製法特許。剤形には製造特許が存在します特許が切れたのは物質特許だけなのです。まだ製法特許と製剤特許の特許有効期間が残っている場合も多くあります先発医薬品と薬の成分が同じだとしても、添加物やコーティングの仕方が違っていたり、製造する際に使う機械が違っているので、全く同じ薬というわけではありません。製法や製造が違うと、薬の溶ける速さが変わって。illust1319_thumb.gifくるとか、有効成分が分解されやすくなる等が生じる可能性があります。統計学的に±20%であれば差が無いと判断されます。20%の範囲であれば有効性は同じとみなされるのです。従ってジェネリック医薬品は先発医薬品と比べて全く同じではなく、統計学的に差が無いということになります。

先発医薬品メーカーのほうがオリジナルな薬に関する情報を多く持っているのは当然の事ですし、ジェネリック医薬品メーカーが医師に提供すべき医薬品の情報が極端に少ないというのも仕方が無いことです。勿論、先発医薬品と比べても遜色ない品質のジェネリック医薬品もあります。
先発医薬品と同等の有効性と安全性を確保するべく、ジェネリック医薬品メーカーは品質管理に務めているのです。
当院では泌尿器科関連の薬を幾つか院内採用しています。時には在庫を切らしてしまうことがあるので、その場合は院外処方箋で対応していますが、その時に一般名で処方すると薬剤師さんが後発医薬品を調剤する可能性が高くなります。薬剤師は患者様に対して説明義務がありますが、もしかしたらジェネリック医薬品を受け取った患者様は「さとう先生に出してもたらっている、いつもの薬じゃないわ!」ということになるかもしれません。基本的に院内採用している薬に関しては、これまで通り商品名(院長が選んだ薬が患者様の手に渡る)で処方箋を発行することにしています。

私も医療事務の仕事を離れれば患者側になり、先発医薬品か後発医薬品かを選択する必要が生じるかもしれません。患者様にはジェネリック医薬品に関して謳われている良い面(従来の薬と同じ成分なのに価格が安い)だけを見て選ぶのではなく、デメリットもあるということを御理解の上で、どちらを選ぶのかを決めて頂きたいと思いました。
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2012年06月07日

スタッフから〜ジェネリックで医療費の抑制?

gremz


此方の記事を併せてお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/273946858.html

新しく発売される医薬品の特許期間については前回の記事で書かせて頂きました。日本の後発医薬品(以下、ジェネリック医薬品とする)の普及率は世界の先進国の中でも低いそうです。その理由の一つとしてアメリカを例にあげると・・、日本のような医療保険制度が無いために莫大な医療費を患者は負担しなければなりません。そのため、少しでも価格の安いジェネリック医薬品に変えようとするのです。しかし日本でも増大する国民の医illust2799_thumb.gif療費を少しでも抑制するために厚生労働省はジェネリック医薬品の処方を推進するための対策をとりました。先発医薬品は研究開発に多額の費用がかかるために、どうしても割高になります。特許が切れて割安になったジェネリック医薬品の普及は医療費の財源確保にも繋がるのです。この4月からの診療報酬改定で、ジェネリック医薬品の処方に関しても変更がありました。

illust4055thumb.gifこれまで医師の交付する処方箋には商品名が記載されていて、調剤薬局では原則として同じ商品名(※1)の薬を調剤していました。この4月からは、調剤薬局でジェネリック医薬品の調剤をしやすくするために、医師が一般名(※2)で処方を行った場合、(名前は違っても)有効成分が同じ薬を調剤することが可能になりました。その評価が一般名処方加算(処方箋料)として2点が加算(患者様にとっては負担増)されました。この加算は院外処方箋が対象で院内処方の方は適応されません。窓口会計の際にお渡しする医療費明細書に記載されていますので、対象になる方は御覧になって下さい。

一般名(※2) WHOに登録されて国際的に認められている薬の名称。
商品名(※1) 製薬会社が自社の薬を販売する際につけた名称。同一薬剤に対して異なる商品名があるため国際的に通用しない場合があります。

例えば、CMなどで胃酸の分泌を抑える「ガスター10」という薬を耳にされたことがあるでしょう。ガスターは商品名で、一般名は「ファモチジン」と言います。今までならば、院外処方箋に「ガスター」と記載があれば調剤薬局でも「ガスター」を出していました。ところが改定により、医師はガスターではなく「ファモチジン」と記載するようにと厚労省は推奨しているのです。ファモチジンのジェネリック医薬品にはガス◯◯◯、ガス△△△ファモ□□□、ファモ***などたくさんあります。(ファモチジンは現在医師の処方箋がなくても薬局で市販薬として購入できます。その際の名称がガスター10です)

医療費の仕組みもヤヤコシイですが、薬の話も難しいですね。

今までと同じ効果の薬が安く手に入るなんて、お得グッド(上向き矢印)というわけではないところが、ジェネリック医薬品の普及率の低さの要因の一つでもあるのです。

次回に続く・・。

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2012年06月06日

スタッフから〜クスリの話

gremz


テレビや新聞などでジェネリック医薬品という言葉を耳にする機会が増えました。ジェネリックとは?という前に、一般的な医薬品の話をさせて頂こうと思います。

当院では泌尿器科関連の薬を扱っています。当院では扱っていないが薬の処方が必要な患者には院外処方箋を患者様にお渡しして、調剤薬局に出向いて頂いています。
illust333_thumb.gif通常、皆様が服用される薬には、口から飲み込む錠剤やカプセルなどがあります。「経口投与」とも言いまして、胃から小腸へと運ばれた薬剤は肝臓で処理され、その後、大動脈から心臓、心臓から全身へと運ばれて効果を発揮します。
解熱剤や鎮痛剤として使われることの多い座薬は「直腸内投与」です。経口投与の作用機序とは異なり、直腸内の粘膜から吸収された薬剤は直接動脈に入り、肝臓を経由することなく心臓へと運ばれます。
「舌下(ぜっか)投与」する薬もあります。舌の下に含ませて自然に溶かしながら舌の粘膜から吸収されます。ニトログリセリンという薬の名前を聞いたことがあるでしょうか。狭心症の発作時に適用すると10〜15秒ほどで効果が現れます。ニトログリセリンを経口投与しても即効性は期待できません。
「吸入薬」は喘息の発作時に使われることが多く、薬を口から吸い込むことで気管支に働きかけます。
花粉症の治療のために「点鼻薬」を使われた方もいらっしゃるでしょう。これは鼻の粘膜に作用します。
皮膚に塗る軟膏やクリーム、湿布などは「外用薬」になります。皮膚への局所作用を目的として用いられますが、皮膚から体内へ吸収されることも考慮する必要があります。

多種多様な医薬品が存在します。薬が患者様に使われるようになるためには、国(厚生労働省)に製造を販売の承認を得る必要があります。新しい効能や効果を有し、臨床試験(治験)等によりその効果や安全性が確認され、承認された医薬品を「新薬」「先発医薬品」と呼んでいます。普段私達が服用する薬の多くが先発医薬品です。医薬品の特許期間は、特許を出願した日から20年間と定められています。但し、医薬品の場合基礎研究から製造販売承認まで通常は10〜15年程かかるため、開発メーカーが新薬を独占的に販売できるのは、市場に出てから5〜10年ほどしかありません。

先発医薬品の特許が切れたあとに、開発メーカー以外の製薬会社が臨床試験などを省略して、先発医薬品とほぼ同一成分で作る医薬品を後発医薬品(ジェネリック)と呼んでいます。

次回はジェネリック製剤について少し踏み込んだ話をしたいと思います。
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2012年05月29日

スタッフから〜当院での高額療養費の具体例

gremz


関連記事と併せてお読みください。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/267918385.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/272306964.html
http://continence-clinic.seesaa.net/article/272313418.html

【さとう泌尿器科クリニックでの例】
5月1日:当院で前立腺針生検を受けられた場合、年齢区分を問わず再診料と検査料を併せて 窓口1割負担の方:4、000円  窓口3割負担の方:12、000円の医療費となります。(自己負担額が少ないので高額療養費は適応されない)

5月10日:生検の結果、前立腺癌と診断された為、投薬(カソデックスを90日分)注射(ゾラデックスLA10.8r)の治療を行い、S総合病院へ骨シンチグラム、CT撮影を依頼した。窓口1割負担の方は16、000円 窓口3割負担の方は48,000円の医療費となります。
◯これまで70歳以上で1割負担の方は16,000円を窓口でお支払いして頂いていましたが、4月からは高額療養費が自動的に適応されますので実際に支払う金額は8,000円となります。(自己限度額12,000円のうち5月1日に4,000円の医療費を支払っているので、差額分の8,000円を自己負担するだけでよい。5月中にもう一度当院を受診した場合、窓口での自己負担額は0円となります。)

◯70歳以上で3割負担の方は48,000円をお支払い頂いていたわけですが、高額療養の自己負担限度額44,000円が自動的に適応されますので、5月1日の12,000円との差額分の32,400円が実際に窓口で払う金額となります。(5月に当院を再診した場合の自己負担額は0円となります。)

◯70歳未満で3割負担の方は高額療養費の適応にはならないので48,000円となります。

5月24日:S総合病院にて・骨シンチグラム・腹部CT撮影造影剤使用(16列以上64列未満のマルチスライス型)を受けた場合、初診料と検査料を併せて 窓口1割負担の方:8、500円  窓口3割負担の方:25、500円の医療費となります。
※70歳以上の1割負担の方でも、さとう泌尿器科クリニックでは高額療養費の自己負担限度額に達していても窓口が異なるため、S総合病院ではお支払いが発生します。

※ あくまで一例ですので、CT撮影部位、造影剤使用の有無、撮影枚数などによって負担額は変わります。ご注意下さい。

6月:ひと月(5月)にかかった全ての医療機関(ここではS総合病院と、さとう泌尿器科クリニック)の医療費の領収書・申請書類などで保険者に報告すると合算され、自己負担限度額以上支払った分が2ヶ月〜3ヶ月後に患者様の指定の口座に振り込まれるしくみです。
※70歳未満の場合は21,000円以上ないと合算できません。

どの医療機関を何回受診したかで、医療費を合算できるできない、などの高額療養費の計算式が変わってきますので「70歳以上だから、ひと月の医療費は12,000円で済む」というわけではありません。後日に高額療養費の申請が必要になるケースも発生するのです。当院を受診されて高額療養費の適応となる患者様には、医療事務員からご説明させて頂きます。
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2012年05月28日

スタッフから〜高額療養費のモデルケース

gremz


此方の記事と併せてお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/272306964.html

モデル@
・佐久市に住民票がある
・ 76歳(男性)
・ 後期高齢者医療保険に加入(被保険者)
・ 医療機関の窓口では1割負担(一般所得者)にあてはまる方
    ↓
 自己負担限度額(個人、外来)12,000円

ケース1−1
5月1日:クランベリークリニックで外来診療(投薬、注射、採血、検査など)
     総医療費:180,000円 1割負担額:18,000円
     実際に窓口で支払う額:12,000円
5月29日:4週間後の定期診察にて、クランベリークリニック外来診療
     総医療費:3,600円 1割負担額:360円
     実際に窓口で支払う額:0円
自己負担限度額を超えたあと、その月に同一医療機関で再診を受けた場合の窓口負担はかかりません

ケース1−2
5月1日:クランベリークリニックで外来診療
     総医療費:180,000円 1割負担額:18,000円
     実際に窓口で支払う額:12,000円
5月28日:さとう総合病院で外来診療
     総医療費:200,000円 1割負担額:20,000円
     実際に窓口で支払う額:12,000円
同一の月に複数の医療機関を受診した場合は、それぞれの医療機関ごとに外来の高額療養費の限度額までを支払いすることになります。(複数の医療機関等同士の医療費を窓口で合算することが不可能なためです。)※この場合【モデル@】《ケース1−2》の方は後日、佐久市役所の後期高齢者医療窓口にて、5月に外来受診した医療機関・薬局等の領収書や、保険証など必要なものを持参して高額療養費の申請を行うことで差額分の高額療養費の支給を受けることができます



モデルA
・会社に勤めていて、正規雇用されている(自営業ではない)
・社員と保険者のやりとりは、会社の総務課で管理している
・55歳(男性)
・全国健康保険協会(被保険者、本人)に加入していて、家族(妻、子)も同じ保険で扶養されている
・医療機関の窓口では3割負担(所得区分:一般所得者)にあてはまる方
              ↓
自己負担限度額(一ヶ月の負担の上限額)80,100円+(医療費−267,000円)×1%

※医療機関等での支払いの前に認定証を提示していただくことが重要ですので、【モデルA】の方は、会社の総務課にて申請書類をもらって提出し、後日『限度額適用認定証』が手元に渡った、とします。

ケース2−1
5月1日:クランベリークリニックで外来診療(支払い前に健康被保険者証と限度額適用認定証を提示した)
     総医療費:300,000円 3割負担額:90,000円
     実際に窓口で支払う額:80,100円+(300,000円−267,000円)×0.01%=80,430
5月29日:クランベリークリニックで外来診療
     総医療費:1000,000円 3割負担額:30,000円
     (5月1日分と併せて再計算)
        80,100円+(400,000円−267,000円)×0.01%=81,430円
   実際に窓口で支払う額:81,430円−80,430円(5月1日支払い分)=1,000円
 同一月に自己負担額を超えた後、その月に同一医療機関で再診を受けた場合の窓口負担は、多数回該当にならない場合(当初3ヶ月間)は自己負担限度額に総医療費の1%の加算があるので、その1%加算分にかかる追加分を窓口で支払います。

《同一月に同一の医療機関に同一の世帯で複数人、受診した場合であって、合算してはじめて高額療養の対象となる時は?》
医療機関の窓口については個人単位で計算しますので、各患者様が各々自己負担に達しない場合には、高額療養費の対象とはなりません。ただし、同一の世帯で合算し、高額療養費の対象となる場合には、後日保険者に高額療養費の申請を行うことにより高額療養費の支給を受けられます。(医療機関や薬局等の領収書が必要になりますので、捨てずにとっておきましょう。)
注意! 70歳未満の場合は21,000円以上であることで合算できます。

入院や日帰り手術を受けるなど医療費が嵩みそうな時は、70歳未満の患者様は、予め限度額適用認定証を発行してもらうことにより、窓口で一度に支払う費用を抑えることができます。70歳以上の方は、(低所得区分を除く)認定証がなくても自動的に窓口での支払が負担の上限額までに留められます。同じ月にもう一度外来を受診して医療費の請求額が0円という事も起こりえます。高額療養費の適応にならなくても、医療費控除制度を受けることができる場合もあります。医療費の仕組みは複雑多岐にわたりますが、少しでも自己負担を減らす方法があるという事を頭の片隅に留めておいて頂ければ幸いです。


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スタッフから〜高額療養費の解説

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これまでの高額療養費制度では?】
高額療養費とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、暦月(月の初めから終わりまで)で自己負担限度額を超えた場合に申請することで、その超えた金額を支給する制度です。
これまでは高額な外来診療を受けたとき、ひと月の窓口負担が自己負担限度額以上になった場合でも、いったんその額をお支払いいただいていました。その後、患者様が高額になった医療費を保険者(保険証の加入先)へ申請することで、〔実際に支払った医療費〕から〔自己負担限度額〕を差し引いた差額分が2ヶ月〜3ヶ月後に指定の口座へ振り込まれる仕組みになっていました。

 【平成24年4月からは
従来通りの手続きに加え、外来診療(通院)における窓口での支払いが〔自己負担限度額〕まで となりました。これによって、一度に多額のお金を立て替える必要がなくなりました
※同一医療機関での同一月の窓口負担に対してです。
※入院時の支払いはすでにこの方法が適用されていました。


 ☆ここがポイント!
所得・年齢によって自己負担限度額が異なるため、事前に保険者(各自、お持ちの保険証の先)から「限度額適用認定証」「限度額適用・標準負担減額認定証」の交付を受けて、医療機関や薬局などの窓口に提示する必要がある方がいます。

 【事前の手続き(認定証の交付申請)が必要な方は?】
・70歳未満の方。
・70歳以上の低所得者(住民税非課税世帯)の方です。
※申請の方法は、加入されている保険証によって異なりますので、加入先にお問い合わせ下さい。
70歳以上の低所得者ではない方は事前の手続きは必要ありませんので、今まで通り月に一度、保険証(「高齢受給者証」や「後期高齢者医療被保険者証」)を窓口に提示していただければ適用になります。

高額療養費の自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります

70歳以上の方の場合(低所得者U・Tに該当する方は、医療機関で「限度額適用・標準負担額減額認定証」を提示する必要がありますので、事前の申請手続きが必要です。
                    
所得区分    負担割合    外来(個人)  ※1 外来+入院(世帯ごと)
◯現役並み所得者  3割    44,400円   80,100円+(医療費−267,000円)×1%  《多数回該当の場合 44,400円》

◯一般所得者          12,000円   44,000円

◯低所得者 U   1割    8,000円    24,600円 

◯(非課税)T                     15,000円

70歳未満の方の場合(所得に関係なく、事前の手続きが必要です。)
所得区分    一ヶ月の負担の上限額(自己負担限度額)    多数回該当
上位所得者  150,000円+(医療費−500,000円)×1%   《83,400円》
一般所得者   80,100円+(医療費−267,000円)×1%    《44,400円》
低所得者    35,400円                         《24,600円》


多数回該当とは?】
過去12ヶ月間以内に、既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合(個人単位を除く)の4回目以降の支給に該当する世帯の場合には、その月の負担の上限額がさらに引き下がるものです。70歳以上の一般所得者と低所得者には適用しません。《》内の金額は多数回該当の場合の限度額です。なお、多数回該当の場合、医療機関においては被保険者(保険加入者本人)又は被扶養者(扶養されている人)が多数回該当にあてはまるかどうかが解りませんので、確認できた場合に限り、医療機関の窓口での対応が可能になるものです。

最終的な自己負担限度額となる毎月の「負担上限額」は患者様の年齢や所得水準によって分けられています。70歳以上の患者様には外来だけの上限額も設けられています。さらに自己負担を軽減する仕組みもあります。世帯合算というものです。(上記の※1 外来+入院世帯ごと)外来お一人の1回分の窓口負担では高額療養費の支給対象とはならなくても、複数の受診や同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険に加入している場合に限る)の受診について、窓口でそれぞれ支払った自己負担限度額を1ヶ月単位で合算することができます。その合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給されます。

事前の申請など詳細は加入している健康保険組合や共済組合、市町村(国民健康保険)などにお問い合わせ下さい。
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2012年04月18日

スタッフから〜新人教育

gremz


illust303_thumb.gif新人教育を初めて早3ヶ月が経ちました。初めは、私が教育係!!と思い、本当に私で大丈夫なのだろうかと不安で毎日悩んでいました。そんな私に、院長始め先輩看護師さんの“大丈夫だから”という励ましで頑張ってみようと思いました。
実際うちのクリニックでは覚えることがたくさんあります。一般的な外来の他に、専門的な検査や手術があります。そこで物品の準備から手順までノートにメモすることから始まります。そんな中、指導するにあたり私が気をつけていたのは、自分がわからなかったところやどうやって理解し覚えてきたかを具体的に教えアドバイスをすることでした。彼女は、若さもありすぐに吸収しどんどん覚え、積極的に検査や手術にも参加して、わからないところはすぐに聞きにきてくれるので教える方としてはとても助かりました。そして、先輩看護師さんのバックアップもあり一人でも任せられるところまで成長してくれました。

illust305_thumb.gif私も、教育係としての(しっかりしないといけない)プレッシャーと戦い、心身ともに鍛えられました。これからは、彼女がこのクリニックでどのような看護師として育ってくれるかが楽しみです。そして私も彼女に負けないように、このクリニックに来てくださる皆様が気持ちよく帰られるように、そして来てよかったと思っていただけるように、笑顔を絶やすことなく親しみやすい看護師を目指して頑張りたいと思います。
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2012年02月09日

看護師からの事例報告2

gremz カーボンオフセット


事例報告1はコチラの記事でどうぞ。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/246927431.html
患者様の治療過程において看護師がどのように関わっていくかを考えることは、とても重要です。患者様のの精神的不安を軽減しながら症状の改善に繋がった症例をご紹介致します。

illust3781_thumb.gif


強い出血を伴う膀胱上皮内癌に対しBCG治療を外来で行った事例

事例紹介:77歳、男性
既往歴: 高血圧、不整脈
内服薬:ブロプレス、フルイトラン、バイアスピリン

主訴:肉眼的血尿、排尿困難、尿閉

現病歴:
H12年、前立腺癌と診断をうけ他院にて前立腺全摘出術施行、PSA値の上昇あった為放射線照射60Gも施行、翌年除睾術施行されH22年より当院通院治療中です。H23年1月には、膀胱出血、尿閉にて他院救急搬送され膀胱洗浄、持続潅流にて止血、Hb3.7g/dlまで低下したため、濃厚赤血球6単位の輸血治療をされました。また、当院にて肉眼的血尿、尿閉に対して尿道カテーテル留置、抜去を繰り返していました。
 
治療の経過:
前立腺癌に対しては、ホルモン抵抗性前立腺癌として紹介されたため、初回はユーエフティE配合顆粒を処方されていましたが、PSAの上昇ありカソデックスに変更、ゾラデックスLA10.8mg注射も併用し治療されています。PSA値は初診時15.4ng/mlでしたが0.008ng/ml未満まで低下しました。 尿中細胞診では、ClassWが持続し、膀胱内視鏡検査で膀胱粘膜は広範囲にわたって発赤が強く、浮腫状で、膀胱上皮内癌が強く疑われました。本来、膀胱生検を行ってから治療を行うところですが、患者さんの血尿に対する不安が強いことから、生検は行わずに、同年7月よりBCG膀胱注入療法を開始しました。
治療開始後も、抗凝固剤を内服しており休薬が困難であることもあり、血尿による尿閉を繰り返しました。尿道カテーテルの留置を勧めましたが、患者さんがカテーテル留置を嫌がったため当初は留置しませんでした。時間外に来院されることも頻回で、その都度膀胱洗浄を行いました。治療途中からは、BCG膀胱内注入後の短期間のみ、尿道カテーテル留置に同意していただけました。イノブラダー膀注用80mgを外来通院にて週1回のペースで計8回行いました。

その後の経過:
PSAは現在0.008ng/mlniと安定しています。肉眼的血尿はBCG治療後より劇的に改善し消失しています。尿中細胞診はclassUで安定しています。頻尿傾向はありますが内服の希望が無いため経過観察中です。


看護の実際
BCG注入後「おしっこの出が悪くなりますから管を入れておきますか?」と医師に促されましたが、カテーテルを入れる事はできるだけ避けたいという思いが強くあり注入後は帰宅されていました。けれども時間が経つにつれ違和感、血尿が強くなり再受診し「先生の言う通り管入れときゃ良かったぁ〜」とおっしゃる事がたびたびありました。その為BCG注入後半は、カテーテルを留置し翌日自分で抜去するように説明し理解を得て治療にあたりました。
その後は、患者様自身レッグパックとカテータープラグを自ら持参してくれカテーテルを留置して帰宅するようになり症状を緩和できました。また「回数を重ねるたび症状が重くなる」と訴えが聞かれましたが、BCGは治療効果にすぐれているという事、副作用がある事を治療のたび医師及び看護師よりお話し声かけをしました。

評価:
BCG膀胱内注入療法は副作用の出現頻度が高く、重篤化する場合は入院治療で状態観察をする必要も生じます。当クリニックでは、クリニックに医師が常駐している事(医院併用住宅)から副作用に対する対応が迅速に行えます。今回患者様より血尿、膀胱注入による排尿時の違和感や血尿に対する不安の訴えが強く、また患者様自身、時間帯に関係なくカテーテル留置、抜去の希望も強かった為、患者様の希望する時間帯にカテーテルの留置、抜去を繰り返し行いニーズに応える事ができました。また、注入後半はカテーテルを留置し翌日抜去する事で症状も緩和し患者様の負担や心配を軽減できました。BCG注入後は、全身性BCG感染を疑う発熱もなく状態は安定しており、予定の8回の注入療法を継続して行うことができました。血尿の増悪はありましたが、膀胱洗浄やカテーテル留置にて軽減する事ができ治療後の症状は劇的に改善する事が出来ました。
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2012年01月22日

新人ナースです

gremz


はじめまして。11月21日よりクリニックで勤めています新人ナースです!クリニックでの仕事は初めてなので、いつも先輩方に助けていただいています。一日でも早く仕事を覚えて皆様に素敵な看護を提供できますよう頑張りますのでよろしくお願いします!

そろそろ就職して2ヶ月が経ちますがクリニックでの看護は病棟とはまったく違うと改めて感じています。一日に接する患者様の非情に多く、一人あたりの患者様と接する時間も5分以下です。その中でいかに気持ちのいい看護を提供できるかを日々考えています。私の先輩方はとにかくテキパキ仕事をして、尚且つ患者様へ気が利く素晴らしい先輩ばかりで本当に尊敬しています。皆様にも是非先輩方の看護を体験していただきたいくらいです。

そんな先輩から学びつつ私が今心掛けていることは、検査や手術の時に少しでも患者様に安心感を提供することです。当クリニックでは「前立腺生検」「排尿機能検査」「尿管ステント手術」など外来以外にも手術や検査が多いのですが、そのときは唯一患者様との関わりが多いです。泌尿器科の検査は初めて・・という方がほとんどで、不安を訴える方や緊張している方が多い印象です。
先日ある検査のときに患者様と話をしていて「看護師さんはいつもニコニコしているね。話しているだけで安心する。不安をわかってもらえるとそれだけで気持ちが違うね」とお話された方がいらっしゃいました。まだまだ私にできることは数少ないですが・・・患者様の話を聞くこと、笑顔を絶やさないことは私にもできます。
illust1756_thumb.gif今後も「できる」ことを増やして「できるナース」を目指して頑張りますので、あたたかく見守っていただけると嬉しいです。


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2012年01月18日

看護師からの事例報告1

gremz


院長より
最近ブログが犬ネタばかり との批判が一部にあるため、アカデミックな内容を載せてみます。クリニックの看護師に興味を持った事例をまとめてもらいました。読んでみると、医師による理詰めの文章とは違った患者さんに寄り添った内容になっており、私もたいへん勉強になりました。このシリーズは不定期で継続していきたいと思います。

illust3781_thumb.gif


〜仙骨部帯状疱疹により尿閉をきたし間歇自己導尿で排尿管理をすることになった事例〜

事例紹介:64歳、男性
既往歴:なし
内服薬:アーチスト・フルタイド・バナン・タリオン・ユリーフ

主訴:尿閉
現病歴:6/26から尿閉となり6/27初診。尿閉となるのは今回が初めて。6年前から排尿困難は軽度あり。6/23から突然排尿困難の増悪。他院よりユリーフを処方された。

検査所見:
 超音波検査:前立腺体積は24ml 水腎なし。 導尿量 400ml
 PSA値:0.6ng/ml
 膀胱鏡:後壁頂部よりに隆起している部位がある 粘膜面は正常
 尿道:屈曲は強いが尿道狭窄なし  前立腺部尿道の狭窄は強い
 膀胱機能検査:
 蓄尿期:初発尿意92ml、最大尿意139ml、蓄尿機能、尿意は正常
 排尿期:生食追加するが、膀胱収縮なく自排尿できず


治療の内容:
前立腺肥大症による尿閉であると思われましたが膀胱機能検査を施行したところ、低排尿筋圧で自排尿できず、排尿筋収縮障害が認められました。また、臀部の痛みがあり検査前日、皮膚科を受診したところ、仙骨部の帯状疱疹と診断されていました。以上により、仙骨部帯状疱疹による神経因性膀胱と診断され間歇自己導尿管理となりました。

 

看護の実際
間歇自己導尿の指導
当クリニックの『自己導尿のしおり』に沿って指導しました。自己導尿をする際の条件は、@尿意時導尿 A夜間導尿は尿意次第 B1日尿量制限なし、でした。この症例の方は、身体面精神面も自立しており“自分で導尿をする”ということへの不安よりも“再び尿が出なくなったらどうしよう”という不安の方が強いようでした。そのためか自己導尿の受け入れも良く手技もスムーズに習得されました。渓流釣りが趣味のようで、「自己導尿なんて、とてもいいことを教えてもらった!これで安心して山へ行けます」と笑顔でおっしゃったのが印象的でした。

その後の経過
排尿は自己導尿で問題なく過ごされ、5週間後には帯状疱疹も完治。尿貯留が十分あれば自排尿が可能となり7週間後には導尿が不要となりました。自排尿後の残尿測定では100ml。自己導尿を中止して1ヵ月後の診察では、残尿もなく治療終了となりました。


評価
患者様のADLや年齢などアセスメントしたときに、自己導尿ではなく“膀胱留置カテーテルの挿入”という選択枝もあるかもしれません。今回の自己導尿指導は原疾患もはっきりしている、一時的な導入でした。原疾患が除去されれば自排尿が可能となる見込みから、正常な膀胱収縮能を保持するためにも、また患者様のQOLを保持するためにも自己導尿は有効であったと思います。
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2011年09月14日

スタッフから 第33回信州排泄ケア研究会

gremz エコアクション


9月10日に第33回信州排泄ケア研究会が松本市で開催されました。当院から参加したスタッフからの報告書です。

講演1 講師:信州大学医学部付属病院泌尿器科 市野みどり先生
    演題:排尿管理の基礎知識
講演2 講師:信州大学 皮膚排泄ケア認定看護師 Mさん、Hさん
    演題:すぐに使える排尿ケア

下部尿路機能(膀胱、尿道)は、蓄尿と排尿という二つの相反する機能により成り立っています。下部尿路は神経(末梢神経、脊髄)を介して脳とつながっていて、蓄尿期は膀胱を緩め尿道を締めます。排尿期では膀胱を収縮させ尿道を広げます。この機能にトラブルが生じると腹圧性尿失禁や過活動膀胱などの蓄尿障害や、排尿障害の症状が出てきます

蓄尿障害
腹圧性尿失禁は、お腹に強い圧力がかかったとき(咳、くしゃみなど)に尿漏れします。主に女性に多く、骨盤底筋が弱くなり尿道をうまく締め上げられたくなり尿が漏れます。原因としては、出産、加齢、女性ホルモンの低下、肥満などがあげられ、治療は、骨盤底筋体操、尿道を締める作用がある薬、手術があります。
過活動膀胱では、自分の意に反して急に強い尿意をもよおし、我慢できずに漏れてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。この症状は、水に触っているときやトイレを見たときに多くみられます。過活動膀胱は40歳以上の男女の12.4%にみられ、このうち半数は失禁も伴います。原因としては、神経のトラブル、骨盤底筋のトラブル(女性)、前立腺肥大症(男性)、加齢によるものもありますが、原因がはっきりとわからないものもあります。治療は、膀胱の異常な収縮を抑える薬、前立腺肥大症がある場合には前立腺肥大症の治療、骨盤底筋体操、行動療法(尿意があってもすぐにトイレには行かず少し我慢してみる)、電気刺激などがあります。
他の尿のトラブルでは、夜間頻尿が多いようです。夜間頻尿では、眠れないからトイレに行く、トイレに行きたくなって目が覚める、目が覚めたからトイレに行く、夜間の尿量が多い、などの種類があります。どの種類なのかは、排尿日誌をつけてもらうことで把握することができるので、その結果で治療の方法を決めていきます。
 

排尿障害
自分でうまく排尿ができずカテーテル留置が必要な方もいます。しかし、カテーテルを留置する理由がなくなった時点で速やかに抜去し、患者様の状況により適切な方法(自己導尿など)を選択していく必要があります。


現場でできる看護師のかかわりとして、安易におむつを使用せずに患者様の話をよく聞き、ニーズを知って自立への手助けをすること。患者様の機能を損なわないように環境の整備や工夫をすること。認知症の方などでは、尿意の訴えを見逃さずにトイレへ誘導し、成功したときの喜びを与え共感することも大事だと思います。尿に対する悩みは人には相談しにくいと思いますが、その悩みを私たちは患者様の身になってケアしていきたいと思っています。



昨年の研究会の報告書も併せてお読み下さい。
http://continence-clinic.seesaa.net/article/161752703.html
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2011年03月21日

スッタフから〜尿失禁・骨盤臓器脱手術の魅力と落とし穴

gremz リサイクル


平成23年3月5日(土)第15回信州排尿障害研究会が長野市で開催され、クリニックからは院長と看護師3名が出席しました。特別講演は3題ありましたが、今回は名古屋第一赤十字病院、女性泌尿器科部長加藤久美子先生の「尿失禁・骨盤臓器脱メッシュ手術の魅力と落とし穴」の講演内容についてご報告致します。

腹圧性尿失禁で広く行われている手術の主流は、以前は針式挙上術(スティミー法)でしたが、現在はスリング手術のTVT法とTOT法です。最近はTVT法が53%、TOT法が15%で、それらの85%が婦人科ではなく泌尿器科主体(85%)で行われています。
以前主流であったスティミー手術は、膀胱頸部の過挙上にて排尿困難をおこしたり、一旦挙上した膀胱頸部が除々に再下垂したり(チーズワイヤー現象)することがあります。TVT法は、恥骨上よりポリプロピレンメッシュを通し固定しますが、膀胱誤穿刺がないか膀胱鏡での再確認は必須となっています。TOT法は、TVT法に比べ腸管損傷のリスクはありませんが、尿道誤穿刺がないように注意が必要です。

骨盤臓器脱(POP:Pelvic Organ Prolapse)には膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤、膣断端脱があります。POPの治療は、保存療法、骨盤底筋体操、減量、便秘や重量物を避ける、リングペッサリー留置と骨盤臓器脱メッシュ手術のTVM法があります。リングペッサリー留置にてリングが膣壁に陥入する事がある為、看護師の指導にて自己着脱ができれば良いのでは?とのご要望がありました。
POPの手術は、頻尿、尿意切迫感は良くなりますが、腹圧性尿失禁を改善するのもではありません。失禁が続く場合は時期をずらしてTOTを行っているそうです。性器脱が軽度の場合は、ボディースーツ、ナプキンを折って圧迫、治療用具等で補う事ができるそうです。

加藤先生の講演は、真面目な中に実体験や患者様の生の声、先生の豊満な胸の映像など、とてもユニークで楽しい講演でした。そんな講演を聞いて、先生の明るい性格や抱擁力は疾患だけではなく患者様の心のケアもされているのではないかと思いました。

私たち看護師として求められるのは、手術に伴うメッリト、デメリットを理解し、医師には言えない不安を聞き取ることなのかもしれません。そして、医師と患者様の間の潤滑油のような存在でありたいと思います。
当クリニックも、腹圧性尿失禁や骨盤臓器脱で受診される方が増えています。腹圧性尿失禁に対しては主に内服、骨盤底筋体操の指導、低周波治療を行っています。骨盤臓器脱に対してはリングペッサリーを挿入しています。入院設備がないので手術は行っていませんが、手術をすると症状が改善するか否かの大事な検査(膀胱内圧検査)は他施設からの依頼もあり、積極的に行っています。検査で手術をすれば日常生活が楽になると判断された方には、総合病院での手術をおすすめしています。

       
お悩みの方がおりましたら、ご相談下さい。
ラベル:尿失禁 
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2010年09月06日

スタッフより 第32回信州排泄ケア研究会

gremz ゴミ分別



9月44(土曜日)に第32回信州排泄ケア研究会が松本市で開催されました。当クリニックからは、看護師2名が参加させていただき、全体では160名ほどの参加者がいて過去最多だったそうです。
講師は、社会保険中央病院 認定看護師 積 美保子先生
演題 『排泄障害ケアの実際』について、お話していただきました。
以下、参加した看護師(当院勤続4ヶ月)からのレポートです。


排泄障害とは、便失禁と便秘に大きく分けられ、なお、便失禁や便秘は病気ではなく症状なのです。
まず、便失禁とは 便意が我慢できない(切迫性)に、または無意識のうちに便が漏れてしまうこと(漏出性)をいいます。原因としては、肛門を閉める筋肉(肛門内括約筋)の働きが低下したために起こります。これには、分娩や肛門手術によって肛門括約筋がダメージをおって弱くなる場合や、加齢により骨盤底筋の筋肉の低下によるもの、そして下剤の乱用も失禁の要因になるそうです。
治療法として、液状便で失禁してしまう方は、便を有形便にコントロールしてあげること、便秘で刺激性下剤を服用している場合は酸化マグネシウムなどに変更して、便通をコントロールします。突然の失禁に対しては、一時的に便の排泄を抑える肛門用タンポン(アナルプラグ)を使用する方法もあります。そして、骨盤底筋の筋肉低下には、骨盤底筋体操の適応があります。

そして、便秘 回数が少ない、便が硬い、いきまないと出ない、残便感があるなど多様の症状があります。原因として、大腸の便を送り出す力が弱い(弛緩性)直腸の働きに原因があると、便意を感じない、いきまないと便が出にくい(直腸性)大腸の痙攣により便がとどこおりやすいために起こる(痙攣性)があります。
治療としては、食事、生活指導、運動、緩下剤をうまく取り入れて便通のコントロールをすること。食事としては、食物繊維を取り、腸内細菌のバランスをよくするためにビフィズス菌などの摂取もすすめています。生活指導としては、便意は我慢しない、排泄時間は3分で全部出し切ろうとせず、次の便意がきた時にまとまった量の便を出すようにしてもらうこと。

最後に、排泄障害は病気ではないので、本人が苦痛、問題と思わなければどんなに、家族、介護者が問題と思っても本人にしてはおせっかいになってしまいます。個人を尊重し、安心して排泄できる環境を作る大切さ、難しさを改めて勉強させてもらいました。
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2009年09月04日

ナースのお仕事・・・8 研究会の準備と見学

gremz



「信州排泄ケア研究会」は、いよいよ明日になりました。この第31回は当クリニックが“当番世話人”ということで、いろいろな方にお力添えを頂いて、準備を進めてきました。 当日はさとう泌尿器科クリニックのクラークさんも、受付や、会場の準備や案内などに参加していただく予定です。
ということで、今週の月曜日には院長先生から当日のタイムスケジュールや役割分担等の詳細な打ち合わせがありました。
昨日は、院長先生とスタッフみんなで会場の見学に行き、当日スムーズにご案内できるように、隅々までチェック!して来ました。
 

〜市民公開講座の内容〜 

第一部:講演 14時〜15時「聞いて納得!おしっこの悩み」
  講師:信州大学医学部泌尿器科学教室助教 市野みどり先生

第二部:おしっこの悩み 無料個別相談 15時30分〜16時30分
  相談員 
   信州大学医学部:西沢 理 先生  市野 みどり 先生
   佐久総合病院 :柏原 剛 先生
   小諸厚生病院 :小林 晋也 先生
   浅間総合病院 :新屋 博之 先生 狩野 臨 先生
   さとう泌尿器科クリニック :佐藤 智哉 先生

無料個別相談の相談員は、信州大学病院と東信地区の主な病院の泌尿器科の専門の先生方に参加していただきます。(看護師も待機しています)ご自分の事、ご家族の事、その他、心配な事、困っている事、どんなことでも結構です。お気軽にご相談ください。

多くの方の参加をお待ちしているとともに、ご来場いただいた皆様のお役に立つ情報をご提供できれば幸と存じます。
ラベル:コンチネンス
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2009年08月26日

ナースのお仕事・・・7 信州排泄ケア研究会広告掲載のお知らせ

gremz 砂漠化



以前より準備をしてまいりました、“研究会”もいよいよ来週の土曜日に迫ってきました・・・。        
現在は、佐久市のより多くの方にこの研究会と、市民公開講座を知って頂こうと、啓蒙活動に励んでいます。
今回は、8月27日の「週刊さくだいら」に広告を掲載させていただきます。 また、佐久病院、浅間病院、小諸厚生病院、軽井沢病院etc.の各病院、スーパー等の掲示板でもお知らせします。
よろしかったらご覧ください。 

詳細はこちらでもUP↑していきます。

posted by クランベリー at 14:16| Comment(0) | TrackBack(0) | スタッフから | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月28日

ナースのお仕事・・・6

gremz 省エネ



<研究会の打ち合わせ>

9月5日(土)に佐久市で開催される『信州排泄ケア研究会』の打ち合わせが松本市の信州大学付属病院で行われました。
改築中の病院内はとても広く、明るくキレイに変わっていました。

開催資料を基に、当日の役割分担やプログラムの内容を確認し、話を詰めていきます。より多くの市民の方に参加して頂きたいということで、今回は市民公開講座を開催します。

第一部 「聞いて納得!おしっこの悩み」
    信州大学泌尿器科 市野みどり先生

第二部 無料個別相談

先生の講演はもちろん、尿漏れや頻尿など、何らかの悩みをお持ちの方に向けた無料個別相談は時間に限りがありますが、専門の医師と看護師が二人一組でお話を伺い、少しでも皆様のお力になれれば・・・。
と思っています。

医療・看護・介護に携わっている方、一般の方、学生の方にも参加していただけるよう準備万端整えていきますので、よろしくお願いいたします。
ラベル:尿漏れ 頻尿
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2009年03月14日

スタッフより〜第13回信州排尿障害研究会報告

gremz


看護外来で行うコンチネンスケア」と言う演題にて、杏林大学医学部付属病院 泌尿器科非常勤講師、谷口珠実さんが講演をしてくださいました。

まず、コンチネンスとは、排泄(尿,便)のコントロールができている状態をいい、 インコンチネンスとは、その反対で意志に反して尿や便が漏れる状態(失禁)をいいます。という説明から始まり、谷口さんが御爺様の介護を通して感じられた事や体験談を生かしながら、現在泌尿器科に携わるまでのお話がありました。

コンチネンスとは、泌尿器科の何を専門とする医師が診察をするのか?治療の必要性があるのか?ケアはどんな事をするのか?など初めは手探り状態から、次第にガイドラインやプロトコールが少しずつ作成されていったそうです。


杏林大学医学部付属病院泌尿器科では、

続きを読む
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